桃太郎5歳男子。1歳前から近所の耳鼻咽喉科でアレルギー性鼻炎と診断され、
一年中耳鼻科に通い、鼻水がでるとすぐ鼓膜に炎症がおこり、
中耳炎まではいかないものの抗生剤を処方されることが多かった。

4歳の冬、滲出性中耳炎と診断され、耳鼻科に通っていた時、医師に何気なく
「呼んでも返事をしないことがよくある」と話したところ、鼓膜振動検査をすることになった。
結果片方の鼓膜が全く振動していないことが判明した。

その時は中耳炎が治れば鼓膜の振動異常も治るものと思い、早く治るように通院に励んだ。
が、周囲に話すと他の病院に受診することを勧められ、別の総合病院に受診をした。
前の病院での診断名を告げたためか、「滲出性中耳炎なら気長に通ってください」と言われ、
総合病院にしばらく通うことになった。
その総合病院には複数の医師が外来に出ており、その中の一人の医師が「真珠腫かもしれない」と言い出し、
鼓膜写真を撮り、CT検査もし、「やはり真珠腫の可能性が高い。
ここでは判定ができないので大学病院へ」と話はどんどん展開し、真珠腫との闘いが始まったのです。

「真珠腫」という言葉すら知らずにいた、私はインターネットで調べるたびに気分が憂鬱になった。
太郎の前では暗い顔を見せられないため、太郎の寝顔を見ながら涙が止まらなくなり、
うつ病になってしまうのではないかと思うぐらい、辛い日々でした。

大学病院では総合病院で撮ったCT検査の結果を見て、
「先天性真珠腫です。手術以外の選択肢はありません。先天性ですので、8割の確率で再発します。」と。
わずかな希望は打ち砕かれ、頭の中は真っ白になりました。
しかし、他に手段がないのならと、手術を受けさせることに決め、帰路につきました。

入院日が近づくにつれ、私の気分はまたまた暗〜くなり、インターネットで調べるたびに、
手術の恐ろしさを知り、そんな手術を5歳になったばかりの太郎が受けるのかと思うと涙が止まらず、
どうしようもない日々でした。
そんな時、真珠腫の輪にめぐり会い、気持ちが少し落ち着き、実際の体験談にとても励まされました。
入院の必要物品から気持ちの準備までできたのは真珠腫の輪のおかげです。
お世話になった皆様、本当にありがとうございました。

そしてついに入院日がやってきました。

1日目

手続きをして、麻酔科の受診、耳鼻科の受診がありました。
耳鼻科で再度鼓膜の映像を見ると、真珠腫が鼓膜の中から膨らんでいるように見える。
なんと、真珠腫は大きくなっていたのです!!
もう少し手術が遅かったら、鼓膜が破れたかもしれません。
セーフなのかアウトなのか釈然としない気持ちで病室へ行きました。
病室へ行くと、太郎の食事が届いていました。
お腹すいたとやかましく言っていたわりに食べませんでした。
メニューが気に入らなかったらしい(>_<)食事も終わると、太郎も付き添いの私も退屈。
暇だし、元気だしで散歩に行きました。
消灯になってから太郎がぽつりと「手術こわい…」「寝たら次は何するの?」「その次は何するの?」と不安そう。
不安だよね。大人でも怖いと思う。

2日目

太郎は普段ほっておくと8時頃まで寝ている子なのに5時半に起床。
お腹すいたと訴えるが、病院ですもの。朝食まで何もありません。
そして、またもや退屈。手術日前日なので、遊びに行って風邪でもひいたら大変!と思いながら、また散歩に。
0時以降食事は禁止、翌日6時以降飲み物も禁止とのこと。
朝起きたら、水を飲ませなくちゃと思いながら、なかなか眠れず。
太郎は母の添い寝でぐっすり。入院してから、一緒に寝ようと言い出す。

3日目

朝6時前から起きてしまう太郎にお腹すいたと言われ、水を飲ませ気を紛らわす。
8時過ぎ、看護師がやってきて、手術着に着替えさせ、おしりから眠くなる薬を入れた。
手術は嫌だと暴れるかと思いきや、太郎はすんなり従う。
手術室に移動するベッドに乗せられ、家族みんなで手術室へ移動。
途中太郎は「今から手術?」と聞いたが、手術だとは言えず、「大丈夫だよ」と太郎と自分自身に言い聞かせる。
私のみ手術部屋に付き添う。小さな手術台に太郎はのせられ、私は必至で涙をこらえ太郎に話かける。
太郎は別に怖がるふうもなく、あっさりマスクで息を2回ほど吸い、眠った。
そこで、私は手術部屋を出され、一人病棟に帰った。9時からの開始で、呼び出しがあったのは15時半。
迎えに行くと、太郎の泣き声が聞こえ、しばらくしてベッドに乗せられた太郎が出てきた。
耳に大きな包帯を巻かれ、点滴をされ、泣いている太郎と一緒に病室へ戻った。
病室に戻ると少し落ち着き、時々ぐずるものの、「痛い」と訴えるでもなく、
うとうとと眠ってはまたぐずるを繰り返す。口が渇くようで声もかすれている。
水が欲しいと訴えるが水は駄目と言われ、少し含ませる程度。
発熱もあり、「暑い」とかける布団を怒って蹴飛ばす。夜はよく寝ていた。
手術部位を下にしないようにと言われていたので
、寝返りで下にならないように、そして何かあっては大変と夫と交代で見守り。

4日目

朝方、私が寝ている間に目覚め、一度おしっこをしたらしい。
昨日ずっと点滴だったのに、一度もしていなかったからたくさんでた。
まだベッド上での生活。太郎は痛いとも言わない。包帯がずりおちてくるのと点滴が嫌らしい。
あと、食事。朝から食事が出たが、おかゆが嫌で全く食べない。
痛いとは言わない。痛くないらしい。顔は結構はれているが、麻痺はなさそう。
それに思ったよりも元気そう。良かった。本当に良かった。と安心したところ、難問発生。
それはガーゼ交換。とんでもなく暴れ、泣き、助けて〜ぇと言わんばかりに「おかぁさーん!!」と叫んでいた。
交換が終わった後もずーーーっと私にひっついて泣いていた。それ以外はベッド上でDVDを見て過ごす。

5日目

部屋の中は移動可に。点滴台をひっぱりながらうまく移動している。
点滴台をひっぱっている以外は普段と変わらないぐらい元気。
食事はおかゆを嫌がり、「ご飯たべた〜い」と訴える。退屈が最大の敵でした。

6日目

点滴のせいで、夜中トイレに起きる。母のベッドにもぐりこんで寝る。
朝はやっぱり5時代に起き、一人で冷蔵庫からジュースを出して飲み、うんちまで一人でしていた。
もう点滴も体の一部か!?部屋の中を動きまわるので、点滴のチューブがからまる。
再びガーゼ交換で暴れる。かすれ声が治り、顔の腫れもひいてきた。

7日目

朝食を食べず。ハンスト?あまり食べないので、おかゆから普通食に戻してもらった。
お昼ご飯は大好物の焼きそば。もう喜んで食べる。
入院生活の最大の関心事はやはり食事とおやつ。
ずっと入浴も洗髪もしていないので、皮膚がかぶれてきた。薬を塗ってもらう。

8〜9日目

まだ、部屋の中だけの移動しかできないので、退屈で退屈で仕方がない。
点滴もまだ続行中。いつまで続くのか。
チューブはからまるし、台は邪魔だし、内服薬に変更して点滴止めて欲しい。

10日目

夜まで点滴と聞いていたので、のんびり過ごしていたら、突然外来に行くように言われた。
エレベータも使用不可だったので、エレベータ使っていいの?と聞くと、
点滴を外し、エレベーターも使っていいとのこと。
そんなんなら、数日前から病棟の中も歩いていいことにしてくれたら、良かったのに。
点滴はずしはやっぱり嫌がる。なんとか身軽になり、外来へ。医師と看護師がたくさん待っていた。
嫌な予感。的中!大暴れ。
大きなガーゼが取れ、耳の外側のテープ+ガーゼ、耳の中はスポンジ+綿球ととっても身軽に。
教授回診が終わったら、退院していいとのこと。やったぁ!!家に帰れるね(^−^)
でも、急に言うなよぉ〜。荷物の整理と冷蔵庫の中の整理をしながら、教授回診を待つ。
順番が来て、部屋に入ると、白衣を来た医師と学生がカーテンのようにずら〜っと立っていた
。思わずひく母をしり目に、太郎は平常心。椅子に座り、「にっこり笑って」と言われると、とってもいい笑顔。
あら。結構大物?と思っていると、すんなり終了し、夕食を食べて無事に退院した。
退院の帰り道、レンタルしていたDVDを返しに行くと、もっとどこかに行こう!と言い出す、太郎。
元気なのはいいんですけどね。懐かしい家に帰り、お風呂タイム。
髪は退院前に看護師さんが洗ってくれていたので、体だけ。
耳を濡らさないようにしないといけないので、防水グッズを探す。ない!
結果、ポリ袋に目と口が出るくらいに穴をあけ、頭にかぶせて入浴。
一週間ぶりの入浴。赤く湿疹がでたところもたくさんあった。
空調のしっかりした環境にいたのに、入浴って大事なんだなと感じた。

退院後

一週間は家の中にほとんどいた。4日程微熱があり、薬を一日3回飲ませ、耳は濡れないように洗髪。
サランラップを耳にかけ、太郎におさえてもらい、洗髪した。その後、受診して、二週間目から保育園に登園。

太郎は子供の生命力で手術直後こそ辛そう(熱が38度くらいだったからかも)でしたが、
翌朝から想像以上に元気で驚きました。
手術部位の痛みを訴えることは一度もなく、そのことにも驚きでした。
手術前は手術の失敗や後遺症など、心配で仕方なかったのですが、終わってみると、拍子抜けするほど簡単でした。
ただ、子供心にも嫌なことをたくさん強いられたので、心のケアは必要だと感じます。
一時的だと思いますが、どもったり、必要以上におびえたりするようになりました。

肝心の真珠腫ですが、全部取ったとのこと。先天性ですから再発のリスクはあります。
しかし削る予定だった骨は真珠腫に浸食されておらず、削らずにすんだとのこと。
骨の再建手術は不要になったことで、とてもほっとしています。


入院の際、真珠腫の輪のみなさんに教えていただいた入院グッズです。
参考になるかわかりませんが、一応のせておきます。

入院に持っていったもの

 ★子供の着替(前あき)(シャツは前あきがなかったので、加工しました)

 ★付き添人の着替(パジャマっぽくないもの)(夜中でも人が出入りします)

 ★二人分のスリッパ

 ★食器類(付き添人、見舞客、患者用)

 ★タオル

 ★シャンプー、石鹸、洗顔料、ドライシャンプー(今回は使いませんでした)

 ★洗濯用洗剤、洗濯ネット

 ★子供のおもちゃ、DVD等退屈しのぎグッズ

 ★筆記用具、はさみ、つめきり

 ★テイッシュ

 ★レジャーシート(子供が床で遊ぶ時や、付添い人が横になったりするときに使用した)

 ★S字フック(いろんなものをひっかけるのに便利でした)

 ★ドリップ式のコーヒー等(乾燥してとにかく喉が渇きました)